森とともに生きてきた人々の言葉に耳を傾けよう。
そして私たちの足もとをしっかりとみつめよう。
そこから、私たちの活動は始まります。
周囲を海に囲まれ、豊かな森に恵まれた日本。そこに暮らす私たち日本人は、はるか昔から自然との深いつながりの中で、森とともに生きてきました。ところがその暮らしは、日本が高度経済成長期を迎えた1960年代から大きく変化しました。私たちは金銭的な豊かさと暮らしの便利さを求め、「森」ではなく「化石燃料」に依存する生活を送るようになったのです。「経済発展」と「大量消費」を前提とする暮らしは、「地球温暖化」や「森林破壊」などをもたらし、地球環境に大きな負荷をかけています。
かつては当たり前であった、自然ととともに生きる暮らし。日本の農山漁村には、今なお、その暮らしを受け継いでいる人たちがいます。その人たちの「知恵」や「心」を学び、日本人の暮らしの足もとを見つめよう。私たちの活動の原点である、「森の“聞き書き甲子園”」は、そんな思いからスタートしました。
「森の“聞き書き甲子園”」に参加する高校生は毎年100人。祖父母ほども年の離れた「森の名人」と出会い、その話を「聞き」、そのまま「書き」おこします。名人の一言一言を記録し、文章にまとめる作業です。名人は言います。
「この年になっても、いまだに一年生よ。一生修行じゃと思うとる」
「我々の仕事は木と話せんことには始まりません」
「損得や金のことだけじゃなしに生きていく。そのことを忘れすぎておりはせんかな」
経済という物差しだけでは測れない、日々の暮らしに見出す「安心」と「豊かさ」。山とともに生きてきた「自信」と「誇り」。人と人が助け合い、世代をつなぐ「心」。「森の名人」の人生を記録する中から高校生はこれら多くの価値を学びます。この価値を共有する、世代を超えたネットワークから、持続可能な未来に向けた様々な活動を生みだしていきたい。「共存の森ネットワーク」は、そのプラットフォームになりたいと願っています。