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活動事例

[Voice.01]「聞き書き甲子園」参加者
「聞き書き甲子園」参加者の声
考える物差しを与えてくれた
名人との出会い
代田 七瀬
代田 七瀬 (しろた ななせ)
Profile
「第1回聞き書き甲子園(2002)に参加。 日本女子大学附属高等学校1年生(参加当時)。 以後、聞き書き甲子園にスタッフとしても参画、 「聞き書き甲子園10周年記念企画」実行委員長(2011)をつとめた。

最初のきっかけは 単純に「面白そう」

「聞き書き甲子園」には、新聞の募集記事を見て応募しました。
全国から高校生が集まる研修や、普段接しない人へのインタビューの機会は、
単純に面白そうだと感じました。

私が聞き書きしたのは、奈良県川上村で吉野杉の種を採り続けている名人でした。
8尋 ( ひろ:1 尋は両手を広げた長さを指す) のロープの両端に拍子木のような
棒が付いた軽子( かるこ) と呼ばれる道具一本で、70 歳を過ぎた体が、高さ40mの杉に登り、
木から木へ移り、2mの鎌を振い、杉の枝先の種を落とします。
種は乾燥させ、篩(ふるい)にかけ、最後はピンセットでゴミを取り除いて出荷されます。
その圧倒的な技と丁寧な仕事ぶりは、高校生だった私に
新しい世界を拓いてくれるような経験でした。

「森は家や」名人のことばがくれたきっかけ

「杉の種を採って、完成木になるまでには100 年の年月がかかる。
実際にはそれを見届けることはできないけれど、私には100 年先の森が見えるんですわ。
そやから、使命感があるんやな」という名人の言葉はとても印象的でした。

当時の私は、森林や林業に関して知識が乏しく、木には赤身(あかみ)と白太(しらた)が
あることを知りませんでした。また、環境を守るために木は伐ってはいけないものだと
思っていました。そんな私に、名人は林業のこと、山の暮らしのこと、仕事をするということを
一つひとつ教えてくれました。

そして「聞き書き」の最後に、「森は家や。人間だけやなしに、
動物や植物が共存するための家や」と話してくれました。

その言葉が、みんなで「共存の森」の活動をはじめようと思うきっかけにもなりました。
現在、私は“聞き書き”を活かしていける研究者を目指し、拠点を海外へ移して、勉強・研究を続けています。

名人との出会いは、これからの暮らしを考えるうえで、
私たちが何を大切にしていくのかの物差しとなり、実践のヒントとなりました。
今でも、私と山、私と未来をつなぐ糸になっています。

(記:2013年3月)