世界じゅうの人が、日本人と同じような生活をすると、地球は2.4個必要です。周囲を海に囲まれ、豊かな森に恵まれた日本。そこに暮らす私たち日本人は、はるか昔から自然とともに生きてきました。その暮らしは、高度経済成長期に入った1960年代から大きく変化しました。私たちは「金銭的な豊かさ」と「便利さ」を求め、石油や原子力に依存する生活を送るようになったのです。 経済発展によって「大量生産」「大量消費」「大量廃棄」を伴うことになった生活は、地球温暖化や環境破壊をもたらし、地球環境に大きな負荷をかけています。世界じゅうの人が今の日本人と同じ暮らしをすると、地球は2.4個必要だと言われています。でも、地球はひとつ。私たち自身が変わらなければ、「ひとつの地球に70億もの人間が暮らせない時代」であることは、あなたもどこかで感じているのではないでしょうか。
かつての日本人の暮らしには、持続可能な未来へのヒントがあります。長年、日本人が当たり前としてきた、自然とともにある暮らし。農山漁村には、いまなお、その暮らしを先祖から受け継ぐ人たちがいます。その「知恵」や「心」を学び、「生きる基盤」をみつめ直そう。私たちの活動の原点である、「聞き書き甲子園」は、そんな思いからスタートしました。「聞き書き甲子園」に参加する高校生は毎年100人。木こりや炭焼き、漁師、木工職人といった、祖父母ほども年の離れた「森」や「海・川」の名人と出会います。彼らと向き合う「聞き書き」を通して、経済という物差しだけでは測れない「豊かさ」。暮らしや仕事に対する「誇り」。人と人をつなぐ「絆」。そして、自然やいのちを慈しむ「心」を学びます。 
 「聞き書き」に参加した高校生は言います。「話を聞く中で、森の悲鳴が肌を伝わるように感じました」「名人は100年先のことを考えているのに、目先のことしか考えられない自分が恥ずかしくなった」「これからも自分の目で見、耳で聞き、手を触れることを通してわかることを大切にしていきたい」
東日本大震災を思い起こしてみましょう。私たちは、都市部を中心に「いくらお金があってもモノが買えない」という事態に直面しました。そして福島第一原子力発電所の事故は、大地と水と空気と、生きものすべてを放射能汚染にさらしました。いのちの基盤が揺らぐ、不確かな時代。わたしたちの活動では、農山漁村に通い、さまざまな世代と協働しながら、持続可能な社会づくりを目指しています。次世代を育てることと同時に、わたしたちの活動は、地域コミュニティの再生、新たな生業(なりわい)づくり、そして海外へも展開しています。いずれの活動も、人と自然、人と人、世代と世代をつなぎ、新たな価値観と社会を創造することを目的としています。
次世代のこころざしと、その活動を応援してください。